とうとう円盤特典のスペアバイク東堂編、最終回を迎えました
感想は後回しで、まずは内容に入らせて頂きますので。
以下、ネタバレご注意ください!
物語は前回同様、修作の語りで進んでいきます。
始まってしまったらしい
オレの オレが__オレが一応“エース”として走る 平坦レースが
尽八を誘って 中学最後の記念にって2人で部活をつくって
ジャージ作ってレースに出て
3月には引っ越して 高校で この町を離れるオレは
少しでもレースで活躍出来たらいいだろうなと思っていた
まして優勝なんてしちゃったらヒーローだなーなんて
思っていた__
数か月前に戻って あの頃のオレに言いたい‼
そんなのムリ‼
こんな人数の中で__
強そうな人たちばっかりの中で
勝てるわけない‼
レースが始まり、体調絶不調のまま走る修作。
集団の中で、周囲に圧倒されっぱなしです。
修作(プレッシャーだし、体調不良だし。周り強そうだし。走ってる感覚ないし。なんかすごいフワフワしてるし。)
そんな事を考えながら修作は前を走り自分を引く東堂を見ます。
ドンとプレッシャーなど跳ねのけ走る東堂。
修作(“優勝”ってすげぇ‼ 尽八ってすげぇ‼ こういう中で勝つんだ。簡単そうにやってると思ってたけど。やっぱ尽八すげぇ‼)(そんな尽八にオレはひとこと言いたい‼ エースを代わってくれ!絶対オレよりおまえが獲る可能性が高い‼)
そう心で叫ぶ修作に、タイミングよく東堂が振り返ります。
東堂「修作‼」
修作「うわっ、ちゃ、何だ。代わってくれるのか!?
よかった通じたのか、オレの心」
東堂「何を言っている。加速だ‼ 集団が縦長になっている‼」真剣な表情です。
修作「へ?たてなが!?」
修作が前方を見ると、確かに集団が縦長になってきています。
東堂「集団が縦長になったら、速度が上がってる証拠だ。前の加速についていかなければ置いていかれる‼ 一気に加速ずるぞ、修作‼」
東堂ドンと加速体勢に入ります。
修作「うひっ、お…おう」
東堂「ついてこいよォ‼」
修作「おお、おう」(うわっ、うわっ、うああ‼)
東堂に引かれ、加速する修作。必死についていきます。
カーブが見えてきます。
東堂「急な下りの左カーブだ。オレの右側に移動しろ。」
修作「えっ、はっ」
東堂「その方が」
修作「おう」
東堂「2人の場合、早くも曲がれる!!」
修作(うお、うお、うおお、おおおお!!)
息を合わせたスムーズなコーナリングを肌で体験し、自分自身で驚いている修作。
修作(今の一瞬の判断で、後ろとの差がついた!!)
東堂「前に追いつくぞ!! 下りは皆、脚を止める。そういう時こそ、ペダルをまわす!!」
修作(尽八!!)
東堂「それが平坦で勝つ者の__」
修作(………!!)
東堂「基本中の基本__イロハの“イ”だ!!」
この東堂の言葉と同時に、二人は先頭の集団へと合流出来ました。
東堂「ふぅ、のれたぞ、修作!! 先頭の集団に!!」
無事に先頭集団に入れた修作は後ろを振り返ります。
振り返ったその道、もう自分達の後に続く者はいません。
修作(読みの的確な判断と加速で、完全にうしろとの差をつけて、先行グループに入った…‼
東堂「修作、このグループは9人」
修作(え)
東堂「このままゴールまで行ければ__喜べ」
修作「‼」
東堂「トップ10は確実だ‼」
修作「尽八‼」(す、すげぇ‼ “トップ10”…あっという間に)
今の状況に驚きまくっている修作。しばし声が出ません。
修作「………」「やっぱ__すげぇな、おまえ…登りだけかと思ったら…平坦もか…縦にのびたら__とか、左カーブで右につけ__とか、下りで回せ__とか…センスあるじゃんか。」
(すげ…)と修作。改めて東堂の才を目の当たりにし、悔しそうに自分の技量を推し量っているような表情です。
修作「敵わないな、オレはもう__」
東堂「何を言っている?」
修作「?」
東堂はすっと笑みを浮かべます。
東堂「修作__今の動きのことを言っているのか?今のは全て、“おまえのうけうり”だぞ?練習中に、おまえがオレに教えたものだ。」
修作(え………あ、あ‼)
修作の中で、確かに自分が東堂に、それらの事を語っていた記憶がどっと蘇ります。
修作「あ」(言った)
東堂「すごいよ、修作。おまえは天才かもしれんな。お前の教えのおかげで、オレは初めての平坦レースで、少なくともトップ10に入れるのだから。」
東堂、ウインクをします。
東堂「誰にでも才能というものはあるものだ」
口をあんぐりの修作(尽八‼ おまえは‼)
この瞬間、オレは
何かそれまで背負って走っていた重いリュックか何かを
下ろした気がした
なぜか足も軽くなって
修作「くそぉ尽八‼ おまえは、何ていいヤツなんだ‼」
東堂「いいヤツ?ハッハッハ、修作」
このレース、アシストとしてずっと前を引いてきた東堂。
手をゴッとあげると、エース修作の背中を押します。
東堂「それは今にはじまったことではないよ‼」
東堂(いけぇ‼ 修作‼)
修作(うおおおおお)
エースとして送り出された修作は走ります。
修作「ゴールスプリントだ‼」
オレはいつの間にか
いつもの練習の時みたいに走ってた
尽八に押された背中は いつまでも熱をもっている気がして
全身に力入って
全力で走れて
表彰台に
乗ることができた‼
表彰台、3のところに立った修作。
両拳を天高く突き上げて喜びます。
修作「はあああ」(すげぇ、すげぇ、すげぇ‼)「やったー‼ ヤバイ‼ やったー‼」
大喜びの修作を見た観客に「あの3位の子、優勝したみたいに喜んでるよ」なんて言われる程です。
そんな修作のもとへ一人の記者がやってきました。
記者「サイクルタイムの者だけど、写真とコメントもらえる?」
大きく口をあげてびっくり顔の修作。
「はい!」と答え、東堂を振り返ります
修作「尽八‼ ついに、尽八‼ おれもついに‼」
東堂「フッ」と笑います。
「誇りをもって、こたえるがいい。3位は立派な順位だ。」
と、次のコマでは、サイクルタイムの記者にコメントを求められ「いや~もう最後夢中でですね。え……と………」なんて照れながら話します。
が、隣では東堂が4人の記者に囲まれフラッシュを浴びながらインタビューを受け始めます。
「キミ、東堂くんだねー」
「平坦レースでも6位、すごいねー」
「今回はヒルクライムじゃなかったけど、感触とかどうだった?」
3位の修作より、確実に取材陣の注目を集める東堂。
修作(尽八‼)
そんな東堂の様子を見た修作は一瞬ガーンとなるも、すぐに、微笑みが戻ります。
そして修作はサイクルタイムの記者のインタビューに答えるのです。
修作「そうですね、中学最後だと思ってつくったんです。」「よかったです」「ええ。仲間にめぐまれて…と言っても、東堂くんだけですけど。」「俺が言うのもヘンかもしれないですけど。彼はきっと、全国が驚くほどの、すごいクライマーになると思いますよ。」
修作が東堂の事を語る言葉を最後に、場面は物語の冒頭、真波に昔話をする東堂へと戻ってきます。
どこぞの道の途中で自転車を止め、修作の事を語る東堂。
それを真波が聞いています。
山道の木々を揺らす風が吹き抜け、ブーン、シワシワシワシワと、夏らしい虫の音などが聞こえています。
真波「へ__何かすてきな話ですね、それ」
東堂「そうして奴は、3月には引っ越していったよ」遠くを見つめている東堂。
「見た目はさえない男だったが、アイディアマンで、もの知りだった。」「やつの幾度とない強引な誘いがなければ、オレは、このジャージを着て、ここにはいない。」
手を広げて、ジャージを見せるようなポーズをとる東堂。
東堂「あの年の夏は、騒がしくて賑やかな夏だったよ。ヤツは箱根学園にいくことをすすめた。」「皮肉なものだよ。このジャージを着て登る姿を、一番見せたいヤツが、そばにいないのだからな」
ジャージの胸元を軽くつまみ、困ったような眉で、それでも口もとだけで笑みをつくる東堂。
あまり見なた事のない表情です。
真波も東堂がそんな顔をする事を意外に思ったのでしょうか。何かを感じ取っているような顔です。
真波「ずっと帰ってきてないんですか、こっちには。修作さん。」
東堂「ああ」「向こうも何かと忙しいらしい」「しかし、今年の夏の終わりには、ちょっと箱根に顔を出すらしい。連絡がきた」
真波「それは楽しみですねー。」「また聞かせてくださいよ。修作さんと会ったら」
東堂「ハッハッハ、久しぶりの再会だ。万難を排して会いにいくよ。その時のことは__」
またいつもの表情に戻って語っている東堂が大きく描かれています。
「たっぷりと話そう。また別の機会に」
さて、スペアバイク東堂編、最終回までご紹介が終わりました。如何でしたでしょうか?
東堂がちょっと悲しそうな顔をして始まった今回の話でしたが、真波の言う通り、まさに“すてきな話”。
読み終わって私は、とても清々しい気持ちになりました
冒頭、東堂が悲しそうな顔をした理由。
それは箱学ジャージを着て登る姿を一番見せたい修作がそばにいないから、という事なのですね。
東堂にとって、修作は自転車に乗る前からとても親しい友人のようでした。
さらには自転車を教えてくれた。愛車リドレーも、彼の父親が組み立ててくれた。
東堂自身も言っていましたが、箱学の山神東堂は修作なしでは語れないという事が、今回の話でよく分かりました。
東堂も修作も…ほっんと良い子ですよね(ノД`)
中学生の二人が可愛くたまりません!
というか、東堂!
かっこよくてスポーツ万能で礼儀正しくて。 さらに友達を想いやれる心の持ち主。
まさに非の打ち所がないとはこの事でしょうか。
しかも本人もそれらを認めているけど、何故か嫌みに感じない!
なんなんでしょうか…本当に東堂の欠点がなさ過ぎてコワイくらいです。
そんな完璧な人間はいないよ…と思ってしまうくらいでしたが!
東堂は高校で巻ちゃんに恋して。どんどん残念な部分が表面化されてきますよね笑
人らしくなったと言うところでしょうか。
中学生の東堂はいつも冷静で、感情をあまり出してこない印象を受けます。
それが、巻ちゃんと出会って「たったいま絶好調になった!」のあの感じになっちゃうわけですからね( ´艸`)
中学生東堂の段階では、まさかあの鬼電をかけるようになるとは思えませんよ。
恋は人を変えるんですね~(*´▽`*)笑
私は完璧人間のおすまし東堂も好きでしたが、残念なイケメンの東堂の方がもっと好きです
修作と東堂が会うのは夏の終わりと言っていましたが。
巻ちゃん渡英の前なのでしょうか?
修作に再会してロードを語るなら、巻ちゃんの話も出てくるのでしょうか。
未来永劫唯一無二のライバル(かつ恋人笑)ですからね。
二人がどんな話をするのか聞いてみたいです
また、いつか巻ちゃんにも修作の事を話す時があるのかと思いますが(もう既に話しているかも!?)、その時の巻ちゃんのコメントとか。聞いてみたいですね~夢が広がります
それにしても、東堂の大切な人は修作にしても巻ちゃんにしても、離れていってしまうのですね。
東堂切ない(>_<)
まあ、離れると言っても、物理的な距離の方で。
気持ちはしっかり結ばれていると信じてます(特に巻ちゃん!)。
色々考えさせられるスペアバイク東堂編でしたが、まだ話は続くよ~的な終わり方が嬉しいです
修作と再会した時の話を、またスペアバイクで読めるのを楽しみに待ちたいと思います。