少し前、中学1年生の娘に勧められ、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』という映画を観てきました。
ご覧になった方もいらっしゃるでしょうか?
映画の宣伝程度で内容をお話致しますと、主人公である現代の女子高校生、百合が、1945年の日本にタイムスリップし、そこで出会った特攻隊員の彰と恋をするという物語です。
娘はこの映画の原作小説を読んでおり、映画化されてすぐ、友達と観に行きました。
小説を読み話は知っていても、想像以上に心打たれ、娘の中では今までで一番泣いた映画になったそうです。
娘の後ろの席に座っていた人などは、声を出して泣いていて、さすがにびっくりしたなんて事も話していました。
私はそんな娘の話を聞いて興味がわき、空いた時間に一人で映画館に足を運んだのです。
娘が映画館に行った際は、娘から見ると年齢の高い人(娘曰わく大人)が多かったと聞きましたが、私が行った日は若い学生さんがほとんど。
私は、戦争もテーマになっている映画を、多くの若者が観に来ているという事に少し驚きました。
そして映画は確かに、涙なくしては観られないものでした。
なんせ主人公の恋した相手は特攻隊員です。
どんな結末になるか、大方予想はついておりましたが、それにしても泣けます。号泣でした。
娘を驚かせた様な声をあげて泣く人にはなるまいと耐えていなければ、うっかり声が漏れていたかもしれません。
それくらい涙する内容でした。
ただ、実は映画を観ている際に、ひっかかった部分もあるのです。
当時の軍人でもこうゆう言葉を選ぶのだろうか?と疑問に思う台詞があったり、主人公の言動も、いくら戦争をあまり知らなかったとしても、あまりにも軽はずみだと思えてしまったり。
何より、今まで私が見てきたどの戦争映画より、本作がとても綺麗だった事、そこに私は多少の違和感も覚えました。
しかし同時にそれが良いのだろうとも思いました。
たとえば我が家では、娘に私がかつて見た戦争もテーマになっている映画を見せようとしても嫌がられてしまいます。
戦争の悲惨さを少しでも知る為に見て欲しくても、結局若い子が全く見たくならないような作品では、良い作品ならば尚更、もったいないと思うのです。
『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の作者は汐見夏衛さんです。
汐見さんは、鹿児島県の出身で、小中学生の時に社会科見学で訪れた知覧特攻平和会館で特攻隊員のことを知って衝撃を受けたそうです。
後に汐見さんが高校の教員になった際、高校生が戦争や特攻隊のことを知らないという現実に直面し、自分がかつて受けた衝撃を伝えるために書いた小説、それが『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』なのだとか。
主人公が現代の女の子で、その子の目線で、その子の言葉で、戦争の“間違っているところ”を紡いでいく。
それは今の若い子にも受け止めやすいメッセージになっているなと感じました。
映画館を出る際、中学生、高校生ぐらいの子達がわいわいと今しがた観た映画の話をしている姿をあちらこちらで見受けました。
若い方々の心に響き、戦争というものを考えるきっかけになっているのであれば、素晴らしい事だなと思います。
さて、どうして私はこの映画でそんな事を考えたかと申しますと、実は2022年、沖縄返還50周年を機に、私の勤める出版社で、戦争の漫画を出しました。
普段は経理の仕事をしている私が、この漫画の出版に関しては、企画の段階から携わっていたのです。
ですが!これがもう~さっぱり売れず、大苦戦したのが記憶に新しかったり。
今回の映画を観ながら、苦戦中のその作品も、もっと若い子達にも受け入れやすくなる工夫が何か出来たかもしれないなと考えた次第です。
そんなこんな…考えつつ、その後、戦争映画を続けて2本鑑賞しまして。
私の中で、衝撃的な心境の変化があったので、そちらのお話はまた②の方に書かせていただきます。